嫌いだ!このCM
1998.07.19
子供も生まれて、てんてこまいって感じですけど、そういった内容はこっちにはあんまり書かないようにするんで、ご了承ください。8月から再開するカミさんの日記のネタが無くなっちゃうでしょ?。ちなみにあちらのほうは、タイトルをどうするかっていう問題がひとつあって、今までは「妊婦ちゃん日記」だったのだから、オレは「経産婦ちゃん日記」がいいと思ってるんだけども、本人はどうもイヤみたい。長いからだろうか?それとも経産婦って言葉がマイナスイメージだからか?それはよく分からないけども、まあ、本人に任せておきましょう。
さて。オレが見てるだけでムカムカしてくるほど嫌いなCMがいまひとつだけあるんだけど。まあね、多少CGがダサいとかね、演出がつまんねー、とかそういったCMは山ほどあるし、製作費の関係上、これが精一杯なんだろうーなーとか、同情できる部分もあるから、そんなのはどうでもいいんだけど。オレが嫌いなやつは、ズバリ「永谷園のチャーハンの素のCM」。すいません、正確な商品名知らないんだけど、つまり、若い男が扇風機の前で大汗かきながらチャーハン食ってる、というだけの内容のやつです。これってさ、前のバージョンは良かったんだよ、まだ。お茶漬け編。お茶漬けのやつは、音楽は無し。男(チャーハンと同一人物。何者かは後述する)がリンリン鳴ってる電話機をとらずにがむしゃらにお茶漬けを食いまくり、ついには電話機に「ただいまお茶漬け中(不確かだけど、こんなかんじの文)」とか書いた紙をバンと貼っつけて、また食う、というもの。これは、食ってるもんがメチャ庶民的なお茶漬けなのに、電話もとらずに真剣に食う、という意外性が感じられたし、音楽が無く、リンリン鳴る電話の音と食べる音のたった二つのSEのみってのが、なかなか緊張感もあり、紙を貼る、というアクシデントもあって、なんか演出意図みたいのが明確にあるじゃないすか。で、男は、タレントではなくって、永谷園の社長だかなんだかとにかく偉い人が「その食いっぷりに惚れた」とかいうことで起用された担当広告代理店の社員なんだよ。なんか「オエッ」って思わない? 代理店の社員ってところで「オエッ」って思うんだよなぁ、オレ。まだ、親戚の子とかいうほうが納得いくんだけど、代理店のやつと聞くと「この出たがりめっ!」と思ってしまう。でもまあ、一回ならいいですよ。三菱エアコンで西田ひかるの相手役だったオッサンも代理店だし(あれは、その雰囲気から一発でわかった(笑))、君だけじゃないよ。でもさ、チャーハン編のほう。何あれ。なんか二番煎じもいいとこっつーか、企画意図はなんなんだろーか。変な音楽をバックにやっぱり大汗かきながら、例の代理店男がチャーハン食ってんの。しかも、なんか前よりも本人の顔が見えてる秒数が長い気がする。気がするだけかも知れないけど(笑)。今回のは電話が鳴ってない。その代わりに音楽が鳴ってる。演出らしいところと言えば、今時、流行は終わったと思われる、手持ち撮影っぽいぐらぐらさせた映像か。あと、最後に、食べ終わったチャーハンの皿に、レンゲがチャーンと放り投げられフレームイン。でも汚い(笑)。人の食い終わった食器なんて汚いって思わんか、普通。なんか、イメージも演出もすべてが貧困に見えて仕方ないんだよね。その割に出てくる男が中途半端にカッコイイ顔してるから、インパクトに欠けるし。代理店男も「断る」ってことを知らないのかなぁ。遠慮しろよな、もうちょっと。素人でもいいからオーディシ ョンすりゃあいいのに。オレ、見てて「食べたい!」って思うのはウガンダのカレーの早食い (笑)。あれはうまそうだよー。そう、流行が終わった手持ち映像だけど、じゃ、今はなにが話題かというと、一部で話題になってたのは、一瞬被写体がストップモーションされたかと思うと、そのままカメラがグルリとパン。というやつ。いや、パンというのは、カメラがレンズを横に振るから、言い方が悪いな。横移動って感じかな。オレが知ってるのは洋服のGAPのCMだけなんだけど、飛び上がったモデルがピタッと止まって、そいつを中心にカメラがグルッと回った映像なのね。で、回ってる時は、モデルは動いてないの。で、この映像はどうやってるんだ、という話題で盛り上がったパソ通の会議室があって読んでたんだけど、ビデオでやってるという奴もいれば、いや、ビデオじゃ画質的に話にならない、とか色々言われてたんだけど、どうでしょうね。確かに、何台もカメラをレンタル出来てフィルムも買えて、撮影スタッフを雇える金さえあれば、ムービーのカメラでも出来るんだろうけど、色合わせが面倒だろうね。さ、ここからオレも「映画を知らない映画学科ナンバーワン」のくせに(笑)、ちょっと専門的な話になるけど、CM撮影に使用するムービーの35mmのフィルムは、普通に回すと400ftのものが3分半ぐらいで終わってしまう効率の悪いもので、だから、制作のやつらは、その撮影でおよそどれくらい回すか予測して、最低限これだけは必要、でもありすぎてもいけないという微妙な本数を算出して注文しますね。1本で済むということはほとんど無い。この時にカメラマンから、希望のフィルムのブランド(コダックか富士か。普通コダック)、タイプ、そして、エマルジョンナンバーまで指定されます。エマルジョンナンバーとはすなわち「乳剤番号」(間違ってたらごめん。何年も前の記憶だし)で、これが同じ番号であれば、同じ工程から出来てきたフィルムで、ほぼ同品質。それぐらいデリケートなわけです。しかも、撮影後、現像したフィルムを、ビデオテープに入れる時(テレシネ、FTなどと呼ばれる工程)、色のチェックを厳密にしてからビデオ化しますね。この仕事はカラリストという専門職があるぐらいです。だからオレなんかは「ムービーでやったら、面倒だろう。スチルカメラかビデオならラクだろうけど」って思ってしまうんだけど。ま、真相は知らないけど、何らかの方法で同期をとって、スチルなりビデオなりムービーでバシャン!と収めたのを順繰りに繋げてるんだろうなぁ。発想がスゴイ。話がそれるけど、(それっ放しだ)カチンコって原始的な音と絵の同期方法なんだよね。あれの役目は、もちろんシーンナンバー、カットナンバーを書いておいて、編集時に参考にするわけだけど、それだけでは無い。ムービーは、音を録れない。だから、音を同時に録る必要がある時は、あのカチンコの音(録音テープに入ってるよね)とカチンコの二つの棒が合わさった瞬間(こちらはフィルムに入ってる)の絵を見て編集時に同期させるわけです。だから、カチンコひとつ打つのも実はテクニックが必要でして、映画なら秒24コマ、テレビ・CM用だと秒30コマでフィルムが進んでいくけど、このカチンコが合わさった瞬間は「1コマ」でなくちゃならないんだね。のろのろやって2コマも3コマも合わさってたら意味が無いんだね。なんて言ってても、最後のほうはデジタル編集だから、そんな原始的な同期はせず、タイムコードってやつでやったりするんだけど。オレも、上手く打てたためしがありませんでした(笑)。よくやるのは、カチカチンって2回連打してしまう失敗。ま、これは、指をすかさず挟み入れてストッパーにするといいんだけどね。一応あのカチンコにはそんな機能があったんだよって話でした。違うよ~~~!(笑)