癒し系 2

 2000.07.16

【前回までのあらすじ】
ハイスクール生活もあと残すところ3ヶ月となったポールは、自分の両親と血がつながっていないことを聞かされ、家を飛び出てしまった。そして皿洗いのアルバイトをしていたレストランにて、ピアノを弾いているところをレコード会社のディレクターに見初められ・・・。

全く違いますね。
本当はこうです。

・・・癒し系っていうのは、こんな程度の楽しみ方でいいと思う。すこしかじって、ある程度満足したらやめておけばいい。そしたら、また欲しくなる。たとえ内容が変わっていてもいなくても飽きはこないはずである。逆にあまりに変わっているとオヤッと思う。

そういう意味で、時々見たくなる人物がいる。)

では、ここから始めますよ。

そういう意味で、時々見たくなる人物がいる。それは ジャパネットたかたという通販会社の社長である。世に数多ある通販番組で、その個性を打ち出すといったら、紹介するしゃべり手のパーソナリティーであろう。「この人面白いな」と思わせないと、いくら魅力ある商品であったとしても、購入する気にはならないのではないか。だからフジテレビで夜中にやっている風見しんごは、どうもよくない。言葉に真実味というか重みがない。それは欽ちゃんファミリーだからということではなく、風見しんご本人の重要な問題である。オレに言わせると、風見しんご、と言われた時に頭に思い浮かぶのは「ぼーくぼーく、笑っちゃいます」というあの歌のみである。それ以外の、たとえばギャグだとか、出世番組とか、そういうファクターが思いつかない。多分、今後も表れない。彼みたいなのが「タレント(直訳すると才能)」と呼ばれるのなら看板に偽りありじゃないか? まだ「おまえ、スノーボード狂いはいいが、いい加減顔が黒いぞ」というイメージに持っていった長江健二のほうが利口だと思う。話がそれたばかりか、ナンシー関のコラムのようになってしまった。失敬。

で、ジャパネットたかたである。この社長がB級タレント2人を相手にみずから商品を紹介するのだが、何が凄いって「言ってることが正しい」のだ。いや、他の人がウソを言っているなどとは毛頭思っちゃいないが、なんか「言葉で飾っている」だけのような人がいるでしょ。つまらないことで「なんと!」って言ったりさ。社長の場合は、話を聞いていると、その商品についてちゃんと勉強してるっつーか、「同じ商品で他のメーカーだとこうこう、こうで不便だが、これについては、こうこう、こうで、だからお勧めするのである」という論理がしっかりしており、商品がカーナビであろうとパソコンであろうと(ここは電器商品が多い)、専門用語をスラスラと言って、決して台本くさいところが無い。加えて「あの」イントネーションである(笑)。と言っても、知らない人にはチンプンカンプンだろうけども、この社長、かなりの訛りである。北関東系の。誰がどう聞いても標準語とは言わない口調で堂々とTV出演するところが潔くて好感がもてる。そして、最後に値段を発表するのだが、ここは分割手数料を会社が負担するというスタイルをとっており、そこを何度も強調する。「手数料をジャパネットが負担するんですよ?!」訛りのせいか、必ず語尾が上がる(笑)。それと、お約束として、タレントのほうに「いくらだと思います?」と嬉しそうに質問する。このあたりで、見てるほうは「早く言って!早く言って!」と思う。遠山の金さんが桜吹雪を出す直前のシーンを見ているパブロフの犬のようである。なんだそりゃ。あれを見ていると、なんかよくわかんないけどいい気分になる。というか、民話にせよたかたにせよ、

「なんだこりゃ?」→力が抜ける→ホッとする→癒される→また見る→変わってないなぁ→ホッとする→癒される・・・

という図式になっているような気がする。そう言えば、一番最初に優香の顔を見たときも「なんだこのブスは?」と思ったっけ。

2020年5月追記

もうとっくに社長は引退されてしまいましたが、北関東じゃなくて九州の人でしたね。失礼しました。