お・し・ご・と(2)
1998.04.19
今の会社に入社したのが94年の12月なのですでに丸3年が過ぎて今4年目である。その前はCMの制作会社に籍を置いていた(実際には今の会社との間に10カ月のフリーター期間があったが)。大学卒業→CM制作10 カ月→フリーター10カ月→今の会社3年4カ月と歩んできている。CMの会社は、学生時代からアルバイトしていた会社に試験を受けさせてもらいもぐり込んだ、と言ったほうが近いかな。なんせ他の会社は一切受けなかったからね。就職難の時代に割と安易に会社を決めてしまうまでは 「トントン拍子じゃん」なんて喜んでいたけど、やはり世間はそう甘くない。この仕事、スゲーきつかったです(笑)。オレの場合、ある程度バイト経験がある故にあまり新人扱いしてもらえなかったせいもあって、「なんでそんなことも知らねーんだよ」みたいなことをさんざっぱら言われたりね。でも、このつらく苦しい仕事はいい勉強になった。先輩からよく言われていたのは、「とにかく相手を気持ち良くするのが大事なんだ」ってこと。別に風俗業じゃぁないんだけど、基本的にはサービス業だから、人に好かれないとやっていけない。じゃ、どうするかっていうと常に相手の気持ちを考えて動くと。こうしたら喜んでもらえるかな?とか、こう言うよりもこう言ったほうが感じがいいかな?とかすべてにおいて頭ん中でシミュレートしてたなー。で、こういうことってどんな仕事でも役立つはずだから、未だに考えてる。ファックス1枚送るだけでも、はじにチョロっとコメント書くだけにするのか、送信票を別に付けるか、相手の状況しだいで変わるし、宅急便が着いてるかどうか確認の電話を一本入れるだけで「わざわざありがとう」と言ってもらえるんだよね。こういう小さいことの積み重ねが信用を築くと信じて、いろいろ考えてます、これでも(笑)。あと、これは基本中の基本だけど、相手の言う無理難題に対して絶対に「出来ません」とか「不可能ですね」とは言うな、って教わった。「出来ません」って言ったら最後、相手は「こいつ使えねー」と判断するもんね。やはりここは「んー かなり難しいですけどやってみますよ」だとか「げらげらげら(と笑ってから) あー わーかりましたー でも物理的にダメな気もするんですけどねー」とか言ったほうがいい(笑)。こうした答え方をしておけば、まず「私はあなたの味方ですよ」という姿勢を表現できるし、同時に「でもダメだったらごめんね」という逃げ道も用意してあるから、まず嫌われることは無い。解説すると、こうだ。まず最初の大笑い。これは「なんて無茶なこと言うんですか~~ あなたは~~」という気持ちを表現している。たいていの場合、相手も無理を言っていることを自分で分かっているから、二人とも大笑いになる。次の「わーかりましたー」。これは「すごくイヤなんだけど、あなたほどのお得意様がおっしゃるんであれば、引き受けるのもやむを得ない・・・かな」ぐらいの意味合い。そして最後に「物理的にダメな気もする」。そう、賢い方はお分かりかも知れないが、最後の最後で「ダメ」と言っている。つまりいったんは受け入れるかのように言っておきながら、最終的には思いっきり「拒否」をしているのだ!これを言われた相手はどんな思いで電話を切るか考えて欲しい。恐らくは「うふっ オレってすげーわがまま言っちゃったなー あいつ(オレみたいな業者のことである)、どんな手を使ってくるかなー 楽しみだにゃー」これはかなり気持ちいいはずだ。気持ちよくないはずがない。そして、後日、もしも自分の言った通りになったとしたら相当に嬉しいはずだ。職場の同僚や部下たちにも触れ回るだろう。仮に言った通りにならなかったとしても、ほんの少しの間は「オレも偉くなったぜ」ってな気分を味わえたのだから、満足してもらいたい。そして大事なのは、もしも最初に「出来ません」とオレが言っていたとしたら、こんな気持ちは絶対に味わえないということだ。もしも言ったら「あっそう(じゃあ他あたってみるよ)」で終わるのだ。ちなみに前にも書いたかも知れないけど、「物理的に」って言葉は非常に便利なので覚えておくといいだろう。たとえば納期を早めろ、と客に言われても「すいません、印刷なもんですから物理的に無理なんですよ」という風に答えれば「オレは最大限の努力をしている。でも、機械とかインクとか、人間にはどうしようもない部分で時間がかかるんだから、あきらめろよ」って言ったことと同じになるんだね(笑)