今月の推薦盤

 1999.11.22

あの、けっこう前から気になってるんだけど、駅構内とかホームとかに設置されてる鏡ね。あれを見て自分の顔をチェックしたり、髪の毛いじったりしてる男って、どうして一様に不細工ヅラなわけ?(笑) なんかさ、本来そういう作業が似合いそうなイイ男が、ああいう鏡を使ってる場面って見なくないですか。で、代わりに(と言ってはなんだが)そういう作業が必要なさそうな、超シンプルな髪形なヤツに限って、何回も何回も髪の毛たくし上げたりして。ま、そういう男どもを見ながら「あんま気にすんなよ」とか「さっきと変わってねーぞ」とかツッコミ入れてるオレが最も暗くて性格の悪い男なんだろうな、ってのは重々承知の上でこういうこと書いてるわけなんだけど。

で、そんな話とはまったく関係なく今日の話題は、とあるCDについて。便利っすよね、現金児童引き出し気。うわ、なんて危ない変換をするんだ>モバイルギア。現金自動引き出し機だったね、キャッシュディスペンサーは。学生時代、大学の食堂にCDが設置された時は、びっくりしたね。っつーか、今日はコンパクトディスクのほうのCDの話なんですよ、やっつさん。しっかりしてくださいよ。で、そのとあるCDなんですが、オレすっっごい欲しかったのよ。でもCD化されてなかったんだよ。でも、最近なにかのメディアにて「あの名盤が今年8月についにCDで再発された!」との情報を発見し、速攻で買わせていただいた。さあ、なんでしょう。ヒントその1=洋楽である。ヒントその2=ライブ盤である。ヒントその3=人名(フルネーム)の入ったユニット名である。ヒントその4=日本でしか発売されなかった。ヒントその5=録音は1981年。ヒントその6=ライブハウス名の入ったアルバム名である。ヒントその7=全曲インストである。ヒントその8=ギターがスティーブ・ルカサーである。ヒントその9=ドラムがジェフ・ポーカロである。ヒントその10=ベースがロバート・ポップウエルである。ヒントその11=キーボードがグレッグ・マティソンである。ヒントその12=おい、これってクイズなのか?(笑)というわけで、正解はグレッグマティソンプロジェクトのザ・ベイクドポテト スーパーライブ!というCDだ。で、多分この作品を知っている人は、おそらくオッサンであることは間違い無いだろう(笑)。だって発売が1982年で、CD化されてなかったんだから、オレみたく先輩にテープコピーしてもらって聞いたあたりが最後の年代じゃねーのかな、と。で、内容は当時一世風靡していた(かどうかはよく知らないが)西海岸ロックフュージョンの典型的なやつで、楽曲はなかなかダサいが、ライブ盤だけあって、ポーカロの疾走感あるバスドラ二つ打ち(踏みって言うのか?)が死ぬほど聴けたり、ルカサーの訳わからんアーミング(はっきり言ってやり過ぎ(笑))とか、やはり「80年代は良かったなぁ」と再認識した次第。このアルバムはオレの人生にちょっとした影響を及ぼしているんだなぁ。まず、アルバムタイトルにも入っている、つまり彼らがこのライブを演奏した場所「ベイクドポテト」だ。オレ、ここに行きました(笑)。19歳の時、初めての海外旅行で当然のごとくアメリカに渡ったんだけど、この時にオプショナルツアーで「LAの著名ライブハウスを観る!」みたいなコースがあって、そこに乗っかったわけなんだけど。やっぱり、日本においてこの場所がLAジャズ・フュージョンの聖地として語られているのは、この「ベイクドポテト スーパーライブ!」というタイトルのアルバムが果たした役割が相当大きいと思うんだな。ま、当然「ラリーカールトンやリー・リトナーを輩出した~」とかいう理由もあるんだろうけど、オレ的にはこのアルバムのおかげで「ベイクドポテトって行ってみた~い」となったわけだね。ここ本当にメニューってベイクドポテトばっかりなんすよ。トッピングの種類が違うだけで。あと、ドラムにマイク立ってないの。いわゆる生音ってやつなんだけど、オレが聴いた限りでは、今まで聴いたどんなコンサートのドラムの音よりも良いサウンドだった。ってこの話どこかに書かなかったっけ?(笑)ま、いいけど。オレが行ったのは確か週末だったんだけど、オーナー氏によるとどうやらラリー・カールトンが来週の火曜に出演するよ~ん、ってことを聞いて、「やっぱスゲー!」とか思ったな。うん。あ、今はハリウッド店というのがサンセット・ブルバード沿いに増えたそうです。それと、オレが大学に入ってすぐに出会った先輩で「たつろうさん」って人がいて、あ、たつろうさんお元気ですか?(笑)で、その人はジェフベックフリークなので、基本的にジェフベックのコピーバンドをよく一緒にやったんだけど、その頃このアルバムの存在を教えてくれて、何と言いますか「LA道」(笑)っつーのかな、なんか自分の中にあった西海岸に対する熱い思いを誓ったわけですよ。もちろん高校の時からTOTO、ジャーニーあたり好きだったけれど、このアルバムはかなり別格でイイんだよな。で、多分あなたが疑問に思ってる「グレッグ・マティソンって誰だよ?」(笑)という疑問についてですが、実はカールトンの「夜の彷徨」なんかで鍵盤弾いちゃってる人っすね。オレはそれを聴いたことないが。あとベースのロバートポップウエルさんはどんなお仕事がメインだったんだろう、誰か教えて下さい。ごめん。ルカサー、ポーカロについては説明の必要無いと思うけど、もう当時のレコードのクレジットにはこいつらどっちかの名前があふれんばかりだったセッション、セッションまたセッション(笑)みたいな、人気スタジオミュージシャンですな。グレッグさんの機材もすごくてなんとハモンドB3(つまりオルガンだ)とミニムーグ(つまりアナログシンセだ)のみだって。で、しつこいようだがルカサーはアーム使いすぎ(笑)。しかしプレイはやっぱ凄いっつーか、例えば1曲目の「Bomp me」でやんちゃなR&R調の曲を披露しておいて2曲目の「Thank You」ではグッと落としていわゆるAORな落ち着いたバッキングを地味にやって、ソロも無し、みたいな。緩急自在っつーか。でもね。ドラムのジェフ・ポーカロ。オレこのアルバムの主役はポーカロだとしか思えないんだよなぁ。なんか、「グルーブがすごい」とかそういうレベルじゃなくて、テンポキープの正確さやら、ちょっとしたハイハットのオープンの仕方やら、スペースの作り方やら、もう、どうしようもなくジェフ・ポーカロ味で(この表現でわかるかな(笑))、普通の「タカトコタン!」っていうフィルでもカッコよく決まっており、とにかく「プレイが光っている」っていうのはこういうことなんだな、と思うぐらい輝いてる。沼澤尚っていうドラマーによるとポーカロ本人は「思いだしたくもない雑でひどい演奏だ」とこのアルバムについて語ったそうだが、ふざけんな、である(笑)。27歳でこんなプレイが出来たら神様じゃないっすか。しかし、そんな偉大なドラマーももうこの世にはいない。ニフティで見た誰かの書き込みによると、以前あったポーカロ没後のTOTOのライブで、ルカサーがメンバー紹介の最後に天井を指さして「ジェフリー・ポーカロ!」とかやったらしいが、マジで涙出そうになる話である。ハアー(合掌)

2020年5月追記

たまたま、このライブハウス前でオーナーと一緒に撮ってもらった記念写真があるので、載せちゃいます

プリントをスマホで撮ったから画質についてはすいません・・多分1991年2月頭でした。湾岸戦争終わりかけだったから。