やっぱり80年代

1998.04.27

今日は、80年代の書物は面白い、って話。
今はどうだかよく知らないが、つい最近「80年代」がブームになっていた。といってもブームらしかったのは音楽の世界だけだったような気もするけど。ファッション業界とか雑誌、小説などでは、別になんともなってなかったよね?しかし、ここに白状すると、私は80年代ってブームとか言われるより前から好きなんです。というよりも、 「80年代で止まってます」(笑)。かの有名なバブル経済を例にとるまでもなく、80年代ってのは、みんな浮かれてたよね。なんだったんだろうか。すべてにおいて、軽薄、短小みたいなことが推し進められてね。で、やっぱり愛好家としては、80年代を楽しむというのは、まあ音楽ってのが手っ取り早かったりしますが、それよりも当時の雑誌や書籍を読むのがすごく楽しいんですよ。たとえば、前に買ってすごく興奮したのが、82年のモノマガジン。この雑誌は、今流行している、またはこれから流行しそうな「モノ」を紹介しまくり、体験しまくりっていう本じゃないですか(←今はやりの押しつけ語尾(笑))。で、開いていくと広告がもうすごい。ジョギングブームのあおりを受けてか、「気分はLA!」って感じの、タンクトップにホットパンツのおねーちゃんが今じゃどこを探しても見つからないと思われるシャスタコーラなんつー清涼飲料水をうまそうに飲んでたり、思わず「わあ、大きいビデオデッキですね~」と感心してしまいそうな、平たく大きな筐体が、よ~く見ると液晶テレビが隅っこにくっついてて「うわ!ラテカセ(ラジカセにテレビまで付けちゃったんだね)じゃ~ん!!」なんて感動したりで大変です。さらに記事を読み進んでいくと、あることに気づきます。なんかね、文体が異様にヘンなの。いや、全部が全部じゃないんだけど、読んでて赤面しそうになってしまう文体で、かつ当時の流行語「真っ黒ネシア」とか平気で使ってたりして、メチャメチャ面白いです。あ、話それるけどBOOK OFFっていう古本屋が最近お気に入りで(笑)、ちょくちょく寄るんだけど、100円コーナーとか充実してて良いですよ。立ち読み歓迎ってなスタンスなので買う前にじっくり検討できるし。この、たかが100円やら300やらの本をあれこれ迷う時が楽しいんだよなぁ(笑)。で、ある時ここで、買ったのが、田中康夫「ぼくだけの東京ドライブ」(爆笑)とえのきどいちろう「ニッポン非公認記録」の2冊。後者のほうは、89年初刷だからまだ新しいほうなんだけど、前者の田中康夫のほうがすごかった。これは、つまり田中康夫なりに「これこれこういう場所をドライブする時にはこんな音楽が気分だ(←この気分、っていう表現も笑う)」っていう、なんつーか、アルバム紹介エッセイというか。でもただの紹介ではなく、こんな洋服着たやつはダサく、こういうのが正しいのだ、とか、こういう学校の出はこれこれこんなだよねなんていう知識ひけらかしーの、はたまた芸能人の誰々は実はこんなヤツで、とか、某料理店はなってない、っていう批判も展開しーの、っていうね。オレこの人のブランドばなしには閉口してしまうけど(あんまりよく知らないからね)、なにかの批判をする時っていうのは結構ウンウン頷いて読んでしまうな。割と正しいところに腹を立ててるな、って気がするんだよね。偉そうなこと言うようだけどさ。で、この人、なんせ、処女作「なんとなく、クリスタル」をヒットさせたのが81年だそうだから、まさに80年代の申し子(笑)と言うかね、すごいよ。「女の子とルン、っていう時に」とか書いちゃってさ、「女の子とエッチする時に」じゃないんだ、「ルン」だよ 「ルン」!。あとやたらめったら、英語ネイティブでもこんな発音なのかね?って首をかしげたくなるような表現が多くてナイス。例えば「アーベインな感じ」「ドラムにジェフ・ポルカロ」「バスにウィル・リー」・・数えてたらきりがないぞ。アーベインは書くとUrbanだけど、これは普通にアーバンってなるんじゃないか?発音を似せようと思ったらゥァーバンとか(笑)。ジェフ・ポルカロってのは仕方無いかもな。未だに街でよく見かける、日立のお店であることを示す看板に「日立チェーンストール」って書いてんのと一緒。バスにいたっては、靴のメーカーか、お魚かって思っちゃうぞ。えのきどいちろうのは、ただただ爆笑。J-WAVEで番組持ってた頃とかあったので知ってる人も多いだろうけど、この人のしゃべり方は独特のおかしさがあって好きです。で、文章を読んでると、そのしゃべってる時と全く同じもんだから、えのきど氏が話してくれてる気がしてくるような、ね。そういえばJ-WAVEを聴かなくなってしまったなぁ。ラジオが聴きたいな、と思うときは迷わず76.1のInterFMになってしまった。J-WAVEの去年の改編でこうなってしまった人は後を絶たないと思うがいかがだろうか。もしくはヤケクソで文化放送、っていう手もアリだな(笑)。あと、わが家のトイレにある本で「スキーの便利帖」。これは堀井憲一郎という人が書いたものだけど、これがとんでもない。とにかく全てのセンテンスにくだらんダジャレが付随しているのだ!あと、意味のない言葉「ぽよよん」とか「ぽいのぽい」とかさ。いや、実に80年代しております。だから80年代好きな方はすぐに古本屋に走って、笑える本を買いましょう。で、読み終わったらオレにください(笑)