奥山さん

多分、皆さんお気づきじゃないだろうが、当blogの右サイドバーの一番下に「MyBlogList」なるスペースがあり、自分が良く見るblogのブックマークとして利用している。そこの中の一つ、奥山貴宏 「32歳ガン漂流 エヴォリューション」adriftを執筆していたご本人がついにお亡くなりになった。実はオレはこの人の著作を買ったことも無ければ一面識も無い、まったく縁遠い人だ。でも、このblogになる前のweb日記を偶然見つけてからは愛読するようになり、ここでblogをやりだした時も、まだカミさんがガンだと分かる以前よりリンクを張っていた。

縁遠いと書いたが、実はすれ違ったこととかはあったかも知れない。というのは、この人はオレと同じ71年生まれで、日芸に通っていたのだ。オレとカミさん両方の後輩にあたるわけだ。彼が現役なのか浪人で入ったのか知らないのでいくつ下かは知らないが、そういう意味では少し縁があったことに加え、オレの八丈時代の親友(オレらが高校生の頃、バイク事故で死亡した)が同じ奥山姓だったこともあって、なんとなく親近感を持っていた。

同年代だからかも知れないが、自らガンにかかる前をBC(BeforeCancer)、かかった後をAD(AfterDisease)と表現してみせたりした感覚が面白かった。

亡くなる直前でのエントリで「緊急入院」とあったので、イヤな感じがしていた。カミさんと同じで、入院を拒んでいた人が入院をせざるを得ない状況とは、つまり「近い」ということだから。

彼は結局ここ数年でガンを題材に2冊、それから小説を1冊上梓して召された。オレはカミさんに冗談で「本でも書きなよ」と言ったことがあったが、さすがに4ヶ月じゃ書けねぇよな。でも、奥山さんが本人最後のエントリで書いた「死にたくないな」というフレーズには驚いた。ここまで強い人でも最後はそう書いてしまう。もちろん死にたくないな、の後に本屋でセットで買ってくれ、という泣かせるフレーズが続くんだけど、「死にたくない」的なフレーズをカミさんの口から一度も聞かなかったという事実を今改めて思うと、カミさんはどんな気持ちで闘病していたのか、教えて欲しい気持ちでいっぱいだ。何があればそんなに強く生きられるのか。優しいダンナと超可愛い子供の力だけじゃなかったはずだ。いつでも「かよこは大丈夫だからね」ってメールに書いてきた気力はどこから沸いてたんだ。それを聞き忘れたのが残念でならない。

奥山さんのご冥福をお祈りいたします。