チンピラゴルファーの時代
矢野東(やの・あずま)という、茶髪でオークリーのウエアを身にまとうチンピラ風ゴルファーがいて、ある時期など「アッシュ・ブラウンじゃダメっすか!」というコラムをゴルフ雑誌に連載していた。オレはもっとゴルフが若者のスポーツになる為には、ドレスコードの見直しからしていかなくちゃならん、と思っているので、このゴルファーの言っていることに共感して、秘かに応援していた。しかし、この選手の欠点(?)として言われていたのは、未だツアー優勝が無かったこと。やはり、アスリートは、いかにカッチョよくとも、プレーが上手くとも、試合で結果を残していないことには「口だけ」と成り下がってしまう。そんな矢野が、ついにアサヒ緑健よみうりメモリアルという大会で優勝した。「やっと勝てたか」と嬉しくなった。
そして、本日行われた三井住友VISA太平洋マスターズ。太平洋御殿場で開催されたこの大会で、なんと、立山光広が2位につけた。この人はいわゆる「飛ばし屋」タイプなのだが、ファッションセンスがどうにもチンピラ風で、オヤジギャグを連発することもあって、注目してはいたが好きってほどでも無い感じだった。オレは17番からTV中継を見たのだが、この2ホールだけでも「おお~~~~っ!!」「うわ~~~~なんで入らないんだよ、ちくしょー!」「あ、ああ~~~入っちゃったよ~!」と歓声を上げまくった。それは立山光広がトップのダレン・クラーク(ディフェンディングチャンピオン)にあと1打と迫っている場面。
まず、17番。長いショートホールで、立山1オン、Dクラークと加瀬は2オン。立山のバーディパットは入ればトップタイだが、わずかにショート。Dクラークのパーパットは一瞬「おお~切れてく切れてく~ 入らないんじゃないの~~?」と思わせてカップ半周ぐらいかけてクルっと入った。ここですでに勝負がついたと言ってもいい。もしここで立山が決めていればタイに並んでモチベーションが上がった状態で最終ホールに臨めたはず。つーか、立山も「なんで入らないんだよ~」と少し落ち込んだ様子がうかがえた。
そして、最終ホール。誰もがイーグル狙いでツーオンさせようと果敢にチャレンジ。しかし、ピンはグリーンの上の段に切ってある。上の段に乗せようと大きめに打った立山も加瀬もグリーン奥のラフ。Dクラークは上の段に届かないながら、下の段エッジぎりぎりに止まる。立山は10~15メートルはあろうかというアプローチショットを華麗に放ち、カップに吸い込まれた~~!と見せかけてクルッと回って出てしまった。本当に素晴らしいアプローチだっただけに、誰もが劇的な逆転イーグルを確信したのに・・・。しかし、バーディはほぼ確定。16アンダーとなるため、Dクラークがヘマ(例えば打ち切れなくて上の段まで届かないとか?)をやればまだまだ分からないぞ~~と思ってみていたら、なんと、Dクラーク、長くて難しいパットを決めちまいやがって(笑)、イーグルっすよ。これは、もう参った。参りました。「なんじゃそりゃ~(ヘナヘナヘナ)」と叫んで、大笑いして、ちょっと涙しました。もうちょっとだけ運があれば優勝できたのになぁ、立山。
そんなわけで、オークリーの矢野もエビスゴルフの立山も頑張れよ~と思うこの頃です。